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ヒメハゼーション・オンラインへようこそ。主にヒメハゼについて書きます。またの名をヒメハゼつれづれといいます。

ミナミヒメハゼ・ヒメハゼ属の一種-6

 

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ミナミヒメハゼ

Favonigobius reichei 

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(ミナミヒメハゼ,沖縄本島西海岸,2019/3/21)

 

主に琉球列島に分布する普通種。

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(ミナミヒメハゼ,西表島,2019/9/14)

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(ミナミヒメハゼ,西表島,2019/9/13)

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(ミナミヒメハゼ,西表島,2019/9/14)

 

琉球列島では河川河口の至る所にいるヒメハゼで、他のヒメハゼと比較すると成魚はやや寸詰まり感があって体高があります。

ヒメハゼに次いで大型になり、雄の成魚はオレンジ色が強い体色で胴の太さもあって、かなり重量感があります。

 

よく見られる特徴に、眼下から口の裂け目に向けて伸びる頬の黒点列(黄点列)があることがあります。画像のように点列になっているのはミナミヒメハゼであることが多いです。

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(上:ミナミヒメハゼ雄;下:ミナミヒメハゼ雌,西表島産)

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(ミナミヒメハゼ,沖縄本島羽地内海,2019/3/22)

 

本土でヒメハゼが潮溜まりに入ることはあまり多くありませんが、琉球列島では内湾や汽水域の潮間帯で2cmくらいのミナミヒメハゼが群れているところをよく見ます。深いところには少なく、幼魚の多くが潮溜まりに入るようです。

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(ミナミヒメハゼ,石垣島,2020/1/1)

 

 

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ヒメハゼ属の一種-6

Favonigobius sp.

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(ヒメハゼ属の一種-6,静岡県伊豆,2019/8/12)

 

ミナミヒメハゼの分布は、魚類検索第三版では琉球列島から静岡県南伊豆とされています(明仁ほか,2013)。そのうち、本土で捕れるこのミナミヒメハゼは、松井ほか(2014)によればミナミヒメハゼとは異なるヒメハゼ属の一種として報告されています。

また、ヒメハゼ属の一種についてはこれまでの記事でも『日本のハゼ』に準じて順番を振ってきたので、ここではヒメハゼ属の一種-6としました。

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(ヒメハゼ属の一種-6,静岡県伊豆産)

 

主に泥底に生息する中型(クロヒメハゼなどと同サイズ)のヒメハゼで、夏場はヒメハゼ(F.gymnauchen)に混じって砂底にまで進出する個体もいます。河川本流部から逸れた泥底の淀みなどで、干潮時でも、ある程度の水深が確保されているようなところからヒメハゼと同所的に捕れます。

写真の写り方や個体によりますが、第一背鰭の黒斑は第4~5棘を越えてから広がっていて、その下は黄色くなるようです。 ヒメハゼ属の一種-3ほどではないものの、琉球列島のミナミヒメハゼと比べると体系的にも細長いです。(ヒメハゼ属の一種-3↓)

https://favonigobius.hateblo.jp/entry/2020/02/02/050533

 

特に幼魚は吻も尖って細長いので、ヒメハゼ属の一種-3との違いが分かりづらいです。

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(ヒメハゼ属の一種-6,静岡県伊豆産)

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(ヒメハゼ属の一種-6,静岡県伊豆,2019/5/19)

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(ヒメハゼ属の一種-6,静岡県伊豆,2019/5/19)

 

背面から見比べるとヒメハゼ属の一種-6は細長く、ミナミヒメハゼの方が寸詰まりな感じに見えます。

ミナミヒメハゼは特に胴回りが太く、尾へ向かうに連れて急激に細くなっていくのに対して、ヒメハゼ属の一種-6はそもそも胴回りが細く、その細さのまま尾まで続いていくように見えます。

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(上:ミナミヒメハゼ,沖縄本島産;下:ヒメハゼ属の一種-6,静岡県伊豆産)

 

泥環境に多いですが、河口まで砂礫底しかない河川で越冬しているであろう個体が捕れたこともあるので、必ず泥環境が必要というわけでもないみたいです。

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(ヒメハゼ属の一種-6,静岡県伊豆,2019/5/18)

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(ヒメハゼ属の一種-6,静岡県伊豆,2019/2/23)

 

 

ヒメハゼ属の一種-6(沖縄本島産)

Favonigobius sp

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(ヒメハゼ属の一種-6,沖縄本島,2019/8/3)

 

沖縄本島で採集した個体ですが、ヒメハゼ属の一種ー6と似ています。

特に、頬の模様が不明瞭で、ミナミヒメハゼによく見られる黒点列も黒斑も見られません。当時は何となく違うけどまあ誤差だろうくらいに思っていたのですが、その後もミナミヒメハゼを繰り返し観察しているとやっぱり違ったなと思うようになり、画像を見返して確認し、今に至ります。

タイトルに敢えて(沖縄本島産)と付けたのは、ヒメハゼ属の一種-6が持つ特徴と全てが同じではないためで、本土で捕れる個体に比べて全体的に色が薄く、体高があります。

 

今のところ沖縄本島でしか見つけられておらず、八重山諸島では見つかりませんでした。

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(ヒメハゼ属の一種-6,沖縄本島,2019/8/3)

 

沖縄本島でも局所的にしか見れませんが、クロヒメハゼと同所的に生息しており、そこにミナミヒメハゼは見られません。

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(ヒメハゼ属の一種-6,沖縄本島,2019/8/3)

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(ヒメハゼ属の一種-6,沖縄本島産)

 

 

 

比較

頬の模様・・・

ミナミヒメハゼは頬にはっきりと黒斑が出るのに対してヒメハゼ属の一種-6は本土産・沖縄本島産共に頬の模様は不明瞭で、あまりはっきりとした黒斑が見当たりません。

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上段はミナミヒメハゼ、中下段はヒメハゼ属の一種-6 ↑

 

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ミナミヒメハゼ ↑

 

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上段はミナミヒメハゼ、下段はヒメハゼ属の一種-6 ↑

 

第一背鰭・・・

ミナミヒメハゼは第一背鰭の前半分(第1・2棘~第5棘まで)に黒斑が出るのに対してヒメハゼ属の一種-6は後ろ半分(第3棘以降~、主に第5・6棘間の鰭膜)に黒斑があります。

ミナミヒメハゼとヒメハゼ属の一種-6(沖縄本島産の個体)は、同じ琉球列島に生息するミナミヒメハゼでありながら第一背鰭の黒斑の位置は明確に区別できて前半分にあるか後ろ半分かで対称的に分かれるので、面白いなと思います。

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上段はミナミヒメハゼ、下段はヒメハゼ属の一種-6 ↑

 

尾鰭・・・

鰭の開き具合によりますが、尾鰭の横帯はミナミヒメハゼだと下半分が規則的・上半分が不規則的であるのに対して、ヒメハゼ属の一種-6の場合は全体的に規則的な横帯が出ているように感じます。ただし、個体やその時の体色によってこの配列は逆になることもあるので、こんな横帯が出やすい印象といった感じでしかないです。

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上:ミナミヒメハゼ 下:ヒメハゼ属の一種-6(沖縄本島産)

 

 

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記事は随時更新します。

 

【参考・引用】

明仁・坂本勝一・池田祐二・藍澤正宏.2013.ハゼ亜目.日本産魚類検索 全種の同定 第三版 中坊徹次編 東海大学出版会.

松井彰子・乾 隆帝・甲斐嘉晃.2014.若狭湾のハゼ亜目魚類リスト.大阪市立自然史博物館研究報告,68.